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Konica HEXAR

 
 
 
 
 
        Konica HEXAR

 ヘキサー1

勝手にインプレッション

コニカの気合を感じるカメラである。
コンパクトカメラにF2.0のレンズを乗っけるかあ、フツー?と感じてしまうのはエンゾーの尻に蒙古斑があるからであって、少し時代を遡れば、キャノネットやハイマチックなど、小さなボディにF値が2を切るレンズを搭載したカメラがゴロゴロしていたわけだから、そういう意味では驚くに値しないのかもしれない。

ではどうして今ではそのようなカメラが死滅してしまったかというと、AF化とフィルムの進化の影響が大きい。
AFにすると、どうしてもレンズユニットが肥大化する。だから、全体をコンパクトにまとめようとすれば、省スペース化の為にレンズそのものの大きさ(口径)を小さくする必要がある。つまり、それまでのように大口径のレンズをコンパクトカメラに搭載する事が不可能になった。
しかし幸いにも、フィルムの性能が著しく向上し、ISO400でも粒状感の無い滑らかなプリントが得られる時代になったため、大口径レンズを搭載しなくても、そこそこ速いシャッターが切れるようになった。その結果、今ではF2.8でも「大口径」と言われるようになったのである。そこへ行くと、このヘキサーは「銀塩最後の大口径コンパクトカメラ」と言う事ができるかもしれない。

さてこのカメラ、まず真っ先に思うのは「デカい」ということ。これはもはや、「コンパクト」カメラと言うのが憚られるほど堂々としている。そしてもう一つ気になるのが、明らかにチープな質感。「M型ライカをレンズ固定にして、全自動に仕立てたらこうなりました」と言わんばかりだが、外観のクオリティーはまことにおもちゃっぽい。また、ボタン類がとても小さく、お世辞にも操作性が良いとは言いがたい。

はっきり言ってコニカの開発陣は、外見は「どーでもよかった」のだと思う。エンゾーが所持しているシルバーは、ロゴマークが「Konica」から「HEXAR」へ、グッタペルカがのっぺりしたゴム引きからシボ革調へ、軍幹部や底板・フードが黒から銀へと変更されたが、ほとんど無駄な抵抗というべきもので、おもちゃのような質感は、初代ブラックモデルの頃から何一つ改善されていない。

ヘキサー2
(見よ、この小さなボタン類を!(笑)時代を感じさせる使いにくさである)


しかし、貧弱な外観とは裏腹に、写真を撮る「道具」としての実力には侮れないものがある。他に類を見ないアクティブ3点測距AFは、一眼レフも真っ青のピント精度を誇る。また、このカメラの命とも言うべきレンズ・ヘキサノン35mmF2は、既に各方面で絶賛されている通り、極めて精細にして上品な描写をする。

さらに、作動音が非常に静かである事も特筆に価する。これはサイレントモードを搭載した初代ブラックモデルだけの話と思われがちだが、シルバー以降のモデルでも十二分に静かである。
ちなみにある裏技を使えば、シルバーモデルでもサイレントモードが復活できる事が確認されている。おそらく、サイレントモードはシルバーモデルから削除されたのではなく、何らかの理由でROM上に封印されたものと思われる。


惜しむらくは、シャッタースピードの遅さだ。どうして最高速が1/250なのか。せっかくF2という大口径レンズを搭載しているのに、宝の持ち腐れである。晴天の屋外では、ISO100でも厳しいことがある。

ここはぜひ、シャッターユニットを含め外観やレイアウトを近代化した、新しいヘキサーが見たい・・・と思っていたら、なんとレンジファインダー機で出てしまった。ヘキサーRFだ。これはヘキサーの後継機種と言うよりむしろ「正常進化したライカ」で、その後に出たM7のコンセプトを先取りしており、当時は「これがOEMでM7として出るのでは?」とまで噂された。
それから数年後に発売されたライカM7は、巻き上げも巻き戻しも手動のままで、AEのみが追加された、良い意味で保守的なモデルになった。エンゾー的には、今のところM7のコンセプトが最も望ましいカメラである。

でも一方で、「このヘキサー」を正常進化させた姿も見たかった。レンズはそのままで、大きさを一回り小さくして、操作性やファインダー情報などはTC-1あたりに習い、シャッターの最高速は1/1000くらいまで切れる奴。質感はせめてベッサR2くらいあると嬉しい…。
そういうヘキサーを待っていたら、青天の霹靂、コニカがミノルタと統合してしまった。コニカミノルタの誕生である。あの名機TC-1を生み出した会社が、まさかコニカの傘下に入ろうとは!最初、てっきりミノルタ主導の合併かと思ったら、実は逆であった。

さらに事態はそれで収まらず、ついにはコニカミノルタそのものがカメラ事業から全面撤退してしまった。光学事業部の資産はすべてSONYが買い取り、かつて日本が誇った「ロッコール」と「ヘキサノン」という二つのブランドは、わずか一年足らずのうちに2社ともカメラの歴史から足早に退場した。

そういう意味で、今は既にない「カメラ業界(今はカメラも家電の一部でしかない)」と言うものが晩年に残した名機のうちのひとつが、このヘキサーと言えるかもしれない。



長所

○ヘキサノン35mmF2は最高です。Lマウント版はプレミア価格である。
○AFの精度はピカイチ。コンパクトの次元を超えている。
○なかなか凝ったファインダー。パララックスをよく補正してくれる。(し過ぎる?)
○とにかく静か。雑踏の中では、作動音がまったく聞こない。スナップに最適。

短所

●なぜ最高速が1/250? せめて1/500くらい・・・
●デカい。常時携帯するお散歩カメラとしては辛いかも。
●露出補正などの操作性がかなり悪い。なんでもボタンで操作した時代のカメラ。
●外観のチープさは如何ともしがたい。なかなか高価なカメラなのだが。

超個人的オススメ度(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆

偏愛度(10点満点)
☆☆☆☆ 

Yahooオークション出現率(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆ 
*コンスタントに出物あり。どうせなら専用ストロボまでGETしたい。



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